テニス2時間で見える、その人の「本当」5つの瞬間
婚活アプリのプロフィール、3分で読み終わる自己紹介、1時間の食事会——。「相手のことを、深くは見られなかった」。そんな実感を持っている人は、少なくないはずです。

「テニスを2時間も真剣にやれば、その人の優しさも、思いやりも、集中の仕方も、ぜんぶ出ます」— あつしコーチ
婚活アプリのプロフィール、3分で読み終わる自己紹介、1時間の食事会——。「相手のことを、深くは見られなかった」。そんな実感を持っている人は、少なくないはずです。
冒頭の言葉は、30年テニスを教え続け、教え子から30組以上が結婚していくのを見届けてきた、独立プロコーチの結論です。私たち品川の婚活テニスサークル「Love All Tennis」のコーチでもあります。
このコラムでは、コーチが30年見続けてきた「コート上で人の本性が出る、5つの瞬間」を紹介します。
1. なぜテニス2時間で「本性」が出るのか

婚活で人を見抜けないのは、相手のせいでも自分のせいでもありません。「素が見える環境」になっていないからです。
人は誰しも、初対面では「演じる自分」を出します。心理学では、これを自己呈示(self-presentation)と呼びます。問題は、婚活の現場がほぼすべて「演じる場」になっていること。
- アプリのプロフィール = 自分が見せたい部分だけを編集した自己呈示
- 1時間の食事会 = 服装・言葉遣い・笑顔がコントロール下にある時間
- 3分の自己紹介 = 「練習した文章」を再生する時間
これらの場では、「素」が顔を出す瞬間がほぼない。だから何度会っても、「結局この人がどんな人か、わからないままだった」が起きます。
「コートで2時間ペアを組めば、その人の素は嫌でも出ます。隠そうとしても、体力が尽きた瞬間に出る」(あつしコーチ)
なぜテニスは違うのか。それは——
- 体を動かし、呼吸が乱れる(理性の制御が薄まる)
- 連続でミスする(プロでも空振りする)
- ペアと協力する必要がある(一人の世界に閉じこもれない)
- 道具・場・周囲の人がいる(誰かに対する態度が必ず出る)
つまり「演じる余裕がなくなる場」がコートには物理的にある、ということです。
2. コートで露わになる5つの瞬間

瞬間1: 短気が出るか、ぐっとこらえるか
テニスは、ミスが連続するスポーツです。プロでも空振りはする。
ミスした瞬間、ラケットを振り回す人。ボールを叩きつける人。舌打ちが出る人。
逆に、苦笑して「次いこう」と切り替える人。ペアに「ごめん、次取り戻すね」と一言かける人。
「30年で何百人と教えてきて、ミスへの反応は、その人の生活そのものです。これは仕事のミスでも、パートナーへの態度でも、同じ顔が出ます」(あつしコーチ)
短気は、隠せません。コートで30分もすれば、出ます。逆にいえば、ここで「こらえられる人」を見れば、その人の感情調整の力がわかる。これは家庭で一緒に暮らす時、最も効いてくる資質です。
瞬間2: 一生懸命やるか、すぐに諦めるか
ボールを取りに行くか、見送るか。
一瞬の判断ですが、人の生き方が出ます。「あ、もういいや」で見送る人と、「ギリギリでも追いかける」人。後者は、テニスでも上達しますし、関係を続ける力も持っている、というのが30年の観察です。
「飽きっぽい人は、付き合ってもすぐ別れる。これは何百例も見てきました」(あつしコーチ)
厳しい言葉ですが、ボールへの態度と、人への態度は、同じ筋肉でできています。困った時に投げ出さない人かどうか——これは、長い付き合いでこそ効いてくる資質です。
瞬間3: パートナーへの声かけの温度
ダブルスでペアを組んだ瞬間、その人の対人スキルが出ます。
- ペアがミスした時、何と言うか
- 点を取った時、ハイタッチを返すか、無言か
- 作戦会議で、相手の意見を聞くか、自分のアイデアばかり押すか
「ここがいちばん見えます。優しい人は、コートでも優しい。それは、男性でも女性でも、結婚相手として続く人の絶対条件です」(あつしコーチ)
家庭でパートナーに「ナイス」と言える人かどうかは、コートでペアにそれを言えるかでほぼ予測できる、という30年の確信です。
瞬間4: 走り回って疲れた時の、素の素
2時間、走り続けた後の最後の30分。
ここに、その人の「素の素」が出ます。
体力が尽きた時、人格は薄まる。残るのは、生まれ持った優しさだったり、地金の短気だったり、意地の張り方だったり。
プロフィール写真や、お酒を飲んだ会話では絶対に出てこない、その人の「土台」がここに見える、と現役コーチは確信しています。
疲労は嘘をつけない——これがコートの2時間が、食事の1時間より深いところまで見せる理由です。
瞬間5: 道具・場・人への思いやり
「思いやりがあるかどうか、生活を一緒にするイメージができるかどうか——テニスをしていれば、本当に2時間で見えてくるんです」(あつしコーチ)
具体的に何を見ているか。
- 道具を大事に扱うか(ラケットを地面に置くとき、丁寧か乱暴か)
- コートの整備を手伝うか(ネット片づけ、ボール集め)
- 初心者の人にどんな声をかけるか
- コーチがアドバイスをしている時、聞いているか
これらは全部、その人の「思いやりの量」に直結している、と。
家計を管理する時の丁寧さ、子どもへの接し方、義実家との関わり方——「将来の生活シーン」が、コートでの所作に、実は全部表れています。
3. なぜアプリ・パーティーでは「これ」が見えないのか

ここまで読んで、こう思った方もいるはず。
「アプリでもパーティーでも、何回か会えば見えてくるんじゃないの?」
結論からいうと、見えにくい構造があります。
食事会・カフェデートで見えるのは、主に「話の上手さ」「笑顔の頻度」「服装のセンス」「会話の話題の選び方」。逆に見えにくいのは、ミスや失敗への反応・体力が落ちた時の素・自分以外の誰かに対する態度・道具や場への接し方——つまり、結婚生活で本当に効いてくる資質です。
人は1時間程度なら、「いい自分」を見せ続けることができます。これは悪いことではなく、人間の自然な機能。問題は、婚活の選択がその「演じた1時間」だけで起きてしまうことです。
コート2時間には、必ず「降参する時間」が来ます。連続ミスして苦笑するしかない瞬間、体力が尽きて走るのをやめる瞬間、ペアに迷惑をかけて頭を下げる瞬間——この降参する時間に、人の本当の人格が出る。逆にいえば、降参する時間が無い場では、本当の人柄は見えにくい。
4. 「魅かれる人」と「離れられない人」、何が違うのか

ここまで読みながら、ふと、こう思った方もいるかもしれません。
「いい人」と「この人と一緒にいたい人」って、別物だよなあ、と。
本記事の監修者であるR(恋愛コーチング経験者)も、現場でクライアントから何度もこの言葉を聞いてきたそうです。「いい人ではあるんですけど、なんか、決め手がなくて……」。
この「なんか」の正体を、Rは 「魅かれる人」と「離れられない人」の違い として整理しています。そして、その違いを説明する道具が、Rがコーチング現場でよく使う 「6つの感情のニーズ」 というフレームワークです。
人が誰しも、無意識に欲しがっている6つのもの
R によれば、人は誰でも、心の奥でこの6つの感情のうち、いくつかを満たしてくれる人を求めています。
| ニーズ | 中身 | 満たされている時の感覚 |
|---|---|---|
| ① 安定感 | 安心・予測できる | 予測できる安心 |
| ② 刺激 | 新しい体験・冒険 | 世界が広がる |
| ③ 重要感 | 認められる・必要とされる | 頼られる |
| ④ 愛&つながり | 受け入れられている感覚 | 素でいられる |
| ⑤ 成長 | 昨日より良くなる | 自分が更新される |
| ⑥ 貢献 | 誰かの役に立つ | 役に立てている |
表だけだとピンと来ないかもしれないので、ひとつずつ、もう少し丁寧に。
① 安定感 — 予測できる安心。明日も今日と同じトーンで会える人。連絡が急に途切れたりしない人。約束を守ってくれる人。一緒にいて「次に何が起きるか怖い」と思わずに済む——Rはこう話します。「結婚は、驚かない方が幸せなんです」と。
② 刺激 — 世界が広がる。一緒にいると、自分ひとりでは行かなかったお店、聞かなかった音楽、考えなかった話題に出会える。「この人と一緒だと、自分の世界がちょっとずつ広がっていく」と感じられる感覚です。
③ 重要感 — 頼られる。「あなただから聞きたかった」「あなただから頼みたい」と言われる。代わりが利かない一人として扱われる感覚。男性が結婚を強く意識し始めるのは、たいていこの感覚が入った時、とRは言います。
④ 愛&つながり — 素でいられる。取り繕わなくていい。笑った顔も、疲れた顔も、機嫌の悪い顔も、見せられる。「黙っていても、隣にいて疲れない」と思える時、これが満たされています。女性が結婚相手に強く求めるのは、特にここ。
⑤ 成長 — 自分が更新される。会うたびに、自分の中に何か一つ、新しいものが入っている感じ。学びでも、視点でも、ちょっとした言葉でも。「この人と一緒だと、自分が前に進んでいる」と思える関係です。
⑥ 貢献 — 役に立てている。自分が、相手や、周りの人や、何かのために動けている実感。「あなたといると、人にやさしくなれる」と思える時、二人の関係はこれを満たしている。Rはこれを「カップルが二人で、外に向かう力」と呼びます。
そして、ここからが大事なのですが——。
「魅かれる人」は、これらのうち1〜2つを満たしてくれる人。
「離れられない人」は、3〜4つ以上を満たしてくれる人なんです。— R(監修者)
「タイプじゃないのに、何故か気になる人」。これは、あなたの満たされていない感情のニーズを、その人が無意識に埋めてくれている合図かもしれません。
コーチが「素が出る」と言う瞬間は、ニーズの「与え方」が見える瞬間でもある
あつしコーチが30年で見続けてきた「5つの瞬間」を、Rの6つのニーズで読み直すと、こうなります。
| コートの瞬間 | その時、相手があなたに分けてくれているもの |
|---|---|
| 1. 短気が出ない | ① 安定感(一緒にいて疲れない安心) |
| 2. 諦めずにボールを追う | ⑤ 成長(一緒に上達していける) |
| 3. パートナーへの温かい声かけ | ③ 重要感 + ④ 愛&つながり |
| 4. 疲れた時の素の素 | ① 安定感 + ④ 愛&つながり(飾らない人と居られる) |
| 5. 道具・場・人への思いやり | ⑥ 貢献(人や場のために動ける姿勢) |
5つを全部できる人は、6つのニーズのうち、4つ以上を相手に分けられる人です。
「この人と離れられなくなる」という現象は、こういう構造で起きている、というのがRの見方です。あつしコーチが現場で感覚的に「いい人ですよ、この人」と感じる相手は、たいてい、このニーズの分け方が上手な人だそうです。
「与える人」か「奪う人」かは、自分が満たされているかで決まる
もう一つ、Rが現場でよく話すことがあります。
自分の ①〜④(安定感・刺激・重要感・愛&つながり)が満たされていない人の ⑤⑥(成長・貢献)は、「奪うもの」になりがち。逆に、満たされている人の ⑤⑥ は、「与えるもの」になる、と。
これは、すごく腑に落ちる話です。
自分が認められたい人は、相手に「すごいね」と言ってほしくて、結果として相手から重要感を「奪う」会話になる。逆に、自分が十分に認められている人は、相手に「あなたはすごい」と自然に伝えられます。
コートで自然と「ナイス!」と言える人は、たぶん、ご自身の重要感が満たされている方。だから、相手にも分け与えられる。
逆に、コートで自分の活躍ばかりアピールする人——その人はまだ、ご自身のニーズが渇いている可能性があります。これは責めるべき話ではなく、ただ「観察できる事実」です。
5. 半年付き合っても見えなかったことが、2時間で見えた話
あつしコーチが30年の指導現場で見てきた一例です。仮に Y さん(30代後半・女性)としましょう。
Y さんはアプリで T さん(30代後半・男性)と知り合い、半年ほど交際していました。「いい人だけど、何かが見えてこない」と感じていたそうです。
ある日、Y さんが通っていたテニススクールに、T さんが「一度やってみたい」と言って一緒に参加しました。2時間、二人で同じコートに立ちました。
その2時間で、Y さんはこれまで見えなかった一面を見たと言います。
「T さんが、初心者の女性に道を譲って、『どうぞ』と先にコートに入らせていたんです。家でもこういう人なんだ、と確信しました」(Y さん談)
その数ヶ月後、二人は結婚しました。
——半年付き合っても見えなかったことが、コートでの2時間で見えてしまう。これが「コートで2時間、その人の素が見える」という、30年の現場の結論です。
6. あなたの①〜④は、いま満たされていますか
ここで一度、ご自身に問いかけてみてください。
- ① 安定感:今、毎日の生活の中で「安心している時間」は、どのくらいありますか
- ② 刺激:最近、心が動いた・ワクワクした瞬間はありましたか
- ③ 重要感:「あなただから頼みたい」と言ってくれる人は、何人いますか
- ④ 愛&つながり:黙っていても一緒にいて疲れない人は、いますか
4つすべて「ある」と即答できる方は、たぶん、いま自分の中が満ちていて、人に「与える」側に立てています。
一つでも、すぐに答えが出てこない項目があれば——それが、あなたが無意識に求めているもの。そして、それを満たしてくれる人と出会った時、あなたは「離れられなく」なります。
ここでお伝えしたいのは、「4つを先に自分で全部満たしてから婚活に出てこい」という説教ではありません。むしろ逆で、自分のどの ① 〜 ④ が今いちばん渇いているかを言語化できると、コートで出会う人を見る目が一段深くなる、という話です。
「ああ、自分はいま、重要感を求めているんだな」と気づいておけば、誰かが「ナイス!」と言ってくれた瞬間に、「あ、この人は私の渇きを分かってくれる」と気づけます。
逆に、自分の渇きを知らないままだと、目の前で与えてくれている人を、ただの「いい人」のまま素通りしてしまう。
これが、コートで5つの瞬間を見抜くために、もう一つ大事な「見る側の目」の整え方です。
まとめ:5つの瞬間が、人生を共にする相手を教える
コートで露わになる5つの瞬間。
1. 短気が出るか、こらえるか(感情調整の力)
2. 一生懸命やるか、諦めるか(関係を続ける力)
3. パートナーへの声かけの温度(対人スキル)
4. 疲れた時の、素の素(人格の土台)
5. 道具・場・人への思いやり(生活への態度)
これらは、プロフィールには絶対に書かれません。1時間の食事では、半分も見えません。2時間のテニスでは、ほぼ全部、見えてしまう。
そして、その5つの瞬間は、Rのフレームワークで読み直せば、相手があなたに 6つの感情のニーズ のうち、いくつを分けてくれているかが見える時間でもあります。3つ以上分けてくれる人がいれば、たぶん、その人はあなたにとって「離れられない人」になる。
「焦らない人ほど、結婚に近づく。コートに2時間立てば、ほとんどわかります」(あつしコーチ)
——「30年見続けたコーチが、断言できる」のだから。
コートの上で「本当」を見る場所
Love All Tennis は、品川で月1回・2部制で開く婚活テニスサークル。
2026年8月22日(土)、第1期スタート。
東京・品川で、月1テニス。
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テニス指導歴30年・独立プロコーチ。教え子から30組以上の成婚を見届けてきた現場の観察を基に、 Love All Tennis のコラムを綴っています。本記事はあつしコーチの30年の指導現場での観察に基づきます。